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ドラレコの効用③
1 前回は、ドラレコが真実究明に寄与した事例として、信号順守・適正速度など事故状況に関する相手方の供述が実は真逆であって、相談者車両に取り付けられたドラレコ映像によって、相手方による赤信号無視の乱暴な運転態様が判明した事案を弁護士の視点で紹介しました。 相談者は、対面信号を注視していたため、信号の色の変化以外の交通状況をほとんど認識していませんでした。 もしドラレコ映像がなく、第三者の目撃証言が得られなかったら、真実の究明は容易ではなかったでしょう。 2 今回は、単純な追突事故ではなく、あおり運転の事案であって、通常加害者であるはずの追突車(後方車両)の運転者=相談者が、実は被害者であったという事案です。 ⑴ 相談者は、事故に至る経過等を懸命に説明しますが、「百聞は一見に如かず」のとおり、相談者車両のドラレコ映像は、相談者の説明に厚みを加え、生命身体に差し迫るあおり運転の危険と恐怖を強く伝えるものでした。 ⑵ 相手方車両は、後方からハイビームを照らして幾度も追突スレスレの接近を繰り返し、今度は、前方に回り込んで、片側二車線の道路の2車線にまたがってジグザグ運転をしたり、相談者車両との車間距離を急ブレーキで急速に詰めたりするなどし、結局、相談者は、前方から急接近する相手方車両との衝突を回避できず、相談者車両が相手方車両に追突したというものでした。 ⑶ 追突事故は、通常、後方車両が100%の過失(前方不注視)責任を負担します。 前方車両の運転者である相手方の目的は、自らが被害者であるかのごとく装い、相談者を責め立てることにあるのは明らかであり、現にその旨を警察官に強調したのでした。 ところが、相談者車両のドラレコ映像の存在によって相手方の目論見は潰え、加害者と被害者のそれぞれの立場が逆転したのです。 ⑷ このような事案では、前方車両が後方注視を欠いたまま後進して後方車に衝突した事例(信号待ちの複数車両のうちの1台が突然バックして後方車両に衝突するなどの事例があります。)と同様、後方車両(相談者車両)の相談者に何らかの運転操作上の落ち度がない限り、前方車両(本件では相手方車両)の運転者の過失に専ら起因する事故と評価されると考えられます。 3 ドラレコのススメ・・・以上、相談者の説明と相手方の説明が食い違ったときに、ドラレコの映像が決め手となり、相談者が救われた事案でした。
ドラレコの効用②
1 前回は、交通事故の事故態様が争われた場合、ドライブレコーダー(ドラレコ)の映像が、目撃証言を超える証拠価値を有し、事故に至る経緯等の重要な手がかり・情報も得られる有意なものであること、ドラレコの取付けを推奨したいことなどをお話ししました。 2 今回は、当事務所に寄せられた相談案件のうち、ドラレコの映像が事案の解明に繋がった「右直事故(信号機設置交差点での右折車と直進車の出会い頭の衝突事故)」の事例を弁護士目線で紹介します。 少々長くなりますが、お許しください。 それは、対面信号の「右折青矢印」に従って右折発進した右折車と、「対面信号が黄色に変わった時点で既に停止線のすぐ手前であったため、安全に停止できず、そのまま直進して交差点に進入した。」という直進バイクが衝突したという事案でした。 3 もし、この事故が、直進バイク運転者の供述どおりとすると、直進バイクは、黄色で交差点に進入したにもかかわらず、青色で進入したものと同視されるため(道路交通法施行令2条1項)、右折車運転者の過失は、直進バイク運転者の過失に比して非常に重いものとなったでしょう。 4 しかし、ドラレコ映像を検証すると、次のような事実経過が判りました。 ① 交差点は、右折車からの進路は直進と右折しかなく、直進バイクからの進路は直進と左折しかない「丁字路交差点」である。 ② 右折車は、交差点中央付近で、安全に右折できるように、対向車両の流れが途切れるのを待つ右折待機をしていた(対面信号は青色)。 ③ 右折車の対面信号が青色から黄色に変わったが、右折車はそのまま右折待機状態を継続していた。 ④ 交差点の向こう側では、対向車線の第1車線(歩道寄り)を走行する車両(以下「本件車両」といいます。)が左折ウィンカーを点灯させながら減速し、交差点手前の停止線付近で停止した。 ⑤ すると、本件車両の後方から第1車線内を走行してきた直進バイクが、加速しながら前照灯をハイビームにして第2車線に車線変更し、さらに加速しながら本件車両の右側から本件車両を追い越し、高速で交差点内に直進・進入してきた。 直進バイクが交差点手前の停止線付近を通過する際、直進バイクの対面信号は、黄色から赤色に変わった。 ⑥ 右折待機していた右折車は、対面信号が黄色から右折青矢印に変わったので、右折発進した。 ⑦ 右折車は、発進後間もなく、直進バイクと衝突した。 5 以上のとおり、ドラレコの映像によって、この事故が、対面信号が黄色になって減速・停止した本件車両に続いてその後方に停止せず、交差点を一気に通過しようと加速して本件車両を追い越し、高速で交差点に進入した直進バイク運転者の無謀な運転に起因するものであり、直進バイク運転者の過失の方が、右折車運転者の過失に比して大変重いものであったことが判明しました(ドラレコの映像に映っていた本件車両の減速・停止が、後方から走行してきた直進バイク運転者の運転の無謀さを際立たせたといえます。)。 6 ドラレコの映像が事案の究明に大きく貢献してくれました。 右折車に装備されたドラレコが、右折車運転者を守ってくれた事案でした。
ドラレコの効用①
当弁護士事務所は無料の法律相談を受け付けており、私が所属する交通事故専門チームにも日々新たな相談・問題をいただいています(ただし、被害者側の方々の相談・依頼を基本としています。)。 最近は、それらの相談・検討依頼の参考資料として、ドライブレコーダー(ドラレコ)の映像が送られることが多くなりました。 その映像の多くは相談者車両の搭載機器によるものですが、相手方車両や、相談者車両の後続車両(知人運転)の搭載機器である場合もあります。 これらは、事故直前・直後の現場付近の交通状況(道路幅や見通し、人・車の行き来など)のほか、相談者車両及び相手方車両双方の走行状況、事故発生に至る経過、衝突の態様やその程度などを客観的に、映像の解像度によっては細部に至るまで映し出しており、これらを視聴するたびに、私は、ドラレコが普及して活用されれば、第三者の目撃証言に頼らない客観的で説得的な事故態様に関する認定が容易になる、事実認定を誤るリスクがかなり回避されると期待するのです。 ドラレコが登場する以前は、例えば、信号機が設置されている交差点での出会い頭の衝突事故で運転当事者の対面信号の表示に関する言い分が食い違う事例の場合、幸運にも第三者である目撃者が存在し、かつその方が証人として協力してくれるような事案でない限り、事実認定にはかなりの労苦を要していたからです(運転当事者は責任回避のために自らに有利な供述をする場合があり、そのような意思がなかったとしても、「黄色で交差点に進入した」との供述の前提となる「黄色を確認した地点」が、詳しく質すと、実際には交差点のかなり手前であり、黄色を見た後は事故発生まで信号を確認していなかった=交差点進入時点での対面信号の確認をしていないという事案がありました。)。 また、仮に目撃者が証人になってくれたとしても、その目撃者と運転当事者との関係性のチェックのほか、事故の発生をどの位置からどのようなタイミングで目撃したか(どうして目撃することができたのか)、衝突態様の説明に記憶違いがないか(表現上の問題)、記憶どおり証言したつもりであっても、目撃者の主観、想像ないし思い込みが紛れていないか(客観性の担保)、事実経過の説明文言の選択に問題はないか(速度が速い、衝突の衝撃がすごい、衝撃音が大きいなどの感じ方や評価に左右される文言において誇張がなく適切に選択されているか)などの検証が欠かせません。 そういった趣旨からも、今後、ますますドラレコの映像が証拠価値の高いものとなるでしょう。 値段も徐々にリーズナブルなものになってきましたので、相手方の言い分が自らの認識と異なる(相手方がうそをつくことも…)場合に備えて、広く自動車の運転者に利用されることを期待しています。 次回は、ドラレコによって早期の解決(又は適切な解決指針の提案)につながった事例を紹介したいと思います。
依頼者・相談者の幸せを願って
狭路における対向車両同士のすれ違い事故の過失割合
弁護士になって思うこと
皆さま、はじめまして。 弁護士法人心 東京法律事務所に所属する渡邉和義です。 37年間の裁判官生活を卒業し、本年1月、縁あって当法人の東京法律事務所に入所した弁護士1年生です。 私は、裁判官として、主に民事事件を担当してきました。 そこでは、当事者本人を含む事件関係者の方々の話に耳を傾け、当事者から提出された証拠に基づき、当事者から一歩離れた立ち位置から事案を検討し、法の定めに従って判決をしたり、紛争の経緯、当事者の思いや関係性などの諸事情を酌み取り、必ずしも法の枠組みにとらわれない、合理的にソフトランディングできる着地点を見つけて早期の和解解決に繋げたりすることに努めました。 そして、判決と和解のいずれの有りようであっても、当事者の方々がこれまでの重荷から解放され、新たな人生の第一歩を踏み出す契機となるよう願って執務してきました(そのように思ってもらうためには、裁判所は、当事者が納得する、又は〈敗訴当事者からは心底からの納得を得られないかもしれないけれども〉「裁判官がそのように考えるのであるならばやむを得ない。」と思ってもらえるような審理手続を催し、説得力ある判断をすることに意を尽くさなければなりません。)。 そして、当事者(現在は、相談者・依頼者)の方々へのこの思いは、弁護士となった今も変わりありません。 私は、現在東京事務所で明るく闊達な弁護士・パラリーガルスタッフに囲まれながら、主に交通事件を取り扱う部門に所属しています。 交通事件は、軽微な物的損害にとどまる案件から、重大な後遺障害が身体に残り、人生が大きく変転してしまう深刻な案件まで、実に様々なものがあります。 交通事故で負傷したが今後の生活が不安である、大切な持ち物が壊れた、事故の相手方の対応が不誠実である・・・これまで経験したことのない出来事に遭遇し、上手く解決できないまま時間だけが過ぎて困惑している方、被害の大きさに頭を抱えて対応に苦慮される方、そのような方々に、背負い続ける重荷をひととき降ろして一息ついてもらい、絡まったひもを一緒にていねいに解きほぐして整理し、一つひとつ問題を解決して、明日に向かって再び歩き出していただく場を提供していきたいと思うのです。 一弁護士として、相談者・依頼者の皆さまにとって有意な事件解決に資するよう、心を新たに努める所存です。
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